Explore First
/rasen:explore はあなたの思考パートナーです。問題はあるけれどまだプランがない、そんなときに使いましょう。 あなたのコードベースを調べ、一緒に選択肢を検討し、成果物やコードが1行も生まれる前に「本当に欲しいもの」をはっきりさせてくれます。像がはっきりしたら、/rasen:propose に引き継がれます。
このドキュメントから習慣を1つだけ持ち帰るなら、これにしてください。迷ったら、提案する前にまず探索する。
なぜそれが大事なのか、理由はこうです。AI コーディングアシスタントは前のめりです。曖昧に尋ねれば、自信満々に何かを作ってくれますが、それがあなたの欲しかったものとは限りません。探索はその特効薬です。あなたと AI が一緒に正しい方向を見つける、リスクのない会話であり、提案する頃にはすでに正しいものを提案できています。
探索すべきとき
探索が最初の一手として正しいのは、多くの人が思うよりずっと多い場面です。次のいずれかに当てはまるなら、使ってみてください。
- 課題はわかっているけれど、解決策はまだわからない。(「ページが遅い気がする」「認証まわりがぐちゃぐちゃだ」「注文が重複し続ける」)
- どのアプローチにするか迷っていて、実際のコードに照らしたトレードオフを見たい。
- コードベースに不慣れで、手を入れる前に仕組みを理解しておきたい。
- 要件がまだ曖昧で、着手する前にそれを研ぎ澄ませておきたい。
- 見た目より作業が大きい、あるいは小さいと感じていて、正直にスコープを見極めたい。
すでに何をどうやりたいか正確にわかっている場合だけ、探索を飛ばしてください。その場合は /rasen:propose に直接進みましょう。
explore がすること(そしてしないこと)
Explore は会話であって、ジェネレーターではありません。
すること:
- あなたのコードベースを読み、検索し、実際の疑問に答える。
- 選択肢を比較し、それぞれのトレードオフに名前をつける。
- 図を描いて、設計を目に見える形にする。
- 曖昧なアイデアを、具体的で作れるスコープへと絞り込む手助けをする。
- 準備ができたら
/rasen:proposeへ移る。
しないこと:
- 変更フォルダを作成しない。
- どんな成果物も書かない(提案・スペック・設計・タスクのいずれも書かない)。
- コードを書いたり変更したりしない。
そこがポイントです。探索にはコストがかからず、あなたを何にもコミットさせません。行き止まりを3つ探索して、それぞれから何かを学び、そのうえで生き残った道だけを提案する、ということもできます。
すでにインストール済みです
朗報です。/rasen:explore は、デフォルトのcore プロファイルに、propose、apply、sync、archive と並んで最初から含まれています。何かを有効化する必要はありません。あなたのプロジェクトで rasen がセットアップ済みなら、explore は AI チャットですぐに使えます(他のすべての /rasen:* コマンドと同じく、ターミナルではなくアシスタントのチャットに入力します。How Commands Work を参照してください)。
完全な例
漠然とした不安が、鋭く、作れる形の変更へと変わっていく様子を見てみましょう。
You: /rasen:explore
AI: What would you like to explore?
You: Our checkout sometimes creates duplicate orders. I don't know why
and I don't know how to fix it safely.
AI: Let me dig into the checkout path...
[reads the order service, the payment webhook handler, and the
client submit logic]
Here's what I found. There are two ways a duplicate can happen:
1. The client can submit twice (double-click, retry on slow network).
Nothing debounces it.
2. The payment webhook can fire more than once, and the handler
creates an order each time. There's no idempotency key.
Cause #2 is the dangerous one: it can charge and fulfill twice.
Three ways to fix it, roughly in order of robustness:
- Idempotency key on the order-creation endpoint (handles both causes)
- Dedup on the webhook by payment-intent id (handles #2 only)
- Client-side debounce (handles #1 only, papers over the real bug)
Given your code already stores the payment-intent id, the
idempotency-key approach is a small change with the biggest payoff.
Want me to scope that?
You: Yes, let's do the idempotency key.
You: /rasen:propose add-order-idempotency-key
AI: Created rasen/changes/add-order-idempotency-key/, with a proposal
and delta spec grounded in what we just found. Ready for implementation.
何が起きたか、振り返ってみましょう。出発点は「何かがおかしいけれど、触るのが怖い」でした。20秒の探索が、それを「名前のついた根本原因」「優先順位づけられた3つの選択肢」「既存コードに根ざした推奨案」「精密な変更内容」へと変えました。そのあとに続く提案が鋭いのは、思考がすでに先に済んでいるからです。
propose への引き継ぎ
Explore はどこにもアーカイブされません。準備ができたら、そのまま変更を始めるだけで、AI は会話の中で得たコンテキストを成果物へと引き継いでくれます。
explore ──► propose ──► apply ──► archive
(think) (agree) (build) (record)
「これを変更にしよう」と普通の言葉で伝えてもいいですし、直接 /rasen:propose <name> を実行してもかまいません。どちらの方法でも、たった今行った探索が、使い捨てのチャットではなく、提案そのものの土台になります。
拡張コマンドセットを使っている場合、explore は代わりに /rasen:new へ引き継ぐこともでき、成果物を1つずつ段階的に作っていけます。詳しくは Workflows を参照してください。
良い探索のためのヒント
- 解決策ではなく課題を持ち込みましょう。 「ログインが遅い気がする」なら AI に調査の余地を与えられます。「Redis キャッシュを追加して」だと、まだ検証していない答えに先回りしてコミットしてしまいます。
- トレードオフを声に出して尋ねましょう。 「それぞれの選択肢の欠点は?」と聞くと、より正直な比較が得られます。
- まずは読ませましょう。 良い探索は、AI が推測ではなく実際にあなたのコードを見るところから始まります。役に立ちそうなら、関連する箇所を教えてあげてください。
- 途中でやめてもかまいません。 探索の結果、そのアイデアに価値がないとわかったなら、それも収穫です。安いコストでそれを学べたということです。
- 変更の途中でもう一度探索しましょう。
/rasen:applyの途中で行き詰まったら、一歩下がってサブ課題を探索し、それから戻ってくることができます。
正直なトレードオフ
得られるもの: explore は、成果物がまだ何も存在しない、一番安いタイミングで間違った方向を捕まえてくれます。特に不慣れなコードで威力を発揮します。AI がシステムを読んで要約してくれる分、あなたは午後いっぱいの発掘作業をせずに済みます。
かかるコスト: 少しの忍耐です。Explore は会話なので、/rasen:propose を撃ち込んでうまくいくよう祈るよりは時間がかかります。すでに本当によく理解している作業であれば、そのひと手間は純粋なオーバーヘッドなので、飛ばしてしまってかまいません。
大まかな目安はこうです。タスクが曖昧であるほど、探索の見返りは大きくなります。タスクが明確であるほど、そのまま提案に進んでかまいません。
次に読むべきもの
- Commands:
/rasen:explore:正確なリファレンス - Workflows:日々のループの中での explore の位置づけ
- Examples & Recipes:一連の流れの中での探索の実例
- Getting Started:探索も含めた、最初の変更のガイド